日本の伝統文化を本物に学ぶ

2022年12月9日 14時10分

  12月8日(木)、劇団前進座をお迎えし、歌舞伎公演を開催しました。体育館が舞台美術によってまるで異空間となり、児童は足を一歩踏み入れた瞬間から興味津々です。また、先日学習発表会で劇や合奏をしたばかりですので、児童は、せりふの言い方や動きの付け方、音楽の合わせ方など、自分自身の体験を思い起こしながら、プロの役者・スタッフによる歌舞伎公演を味わいました。

 「歌舞伎の楽しさ」では、歌舞伎特有の立廻り・附け・見得の紹介、太鼓による自然現象の表し方、拍子木の効果、女方の実演など、文字通り楽しさ満載でした。それぞれの実演はもとより、1年生を惹きつけて止まなかった役者さんの説明の見事さに感動しました。6年生は全校に先立って実施したワークショップで教わった立廻りを披露しましたが、これも大いに歌舞伎の楽しさを感じさせるものでした。

 さて、本編「牛若丸」ですが、常盤御前、平宗清、牛若丸、武蔵坊弁慶といった登場人物をほとんどの児童は知るはずもなく、また、理解できるせりふも少なかったはずです。しかし、驚きました。場面に合った反応を低学年児童が見せるのです。例えば、会場が暗転することはないのですが、役者の動き、太鼓の音から、真っ暗闇の場面として見ることができているのです。あるいは、せりふの言い回しが伝わっているのでしょう、人物の心情に合った表情をして見ているのです。前段の「歌舞伎の楽しさ」が本編「牛若丸」へと繋がり、役者の演技・スタッフの演出が、見事に児童の想像力を掻き立てていました。中でもクライマックスの見せ場は迫力十分で、まさに圧倒され、また見てみたいとの思いを強く抱くものでした。

 文化芸術による子供育成事業として実施された本公演ですが、本物の歌舞伎を通して、児童は日本の伝統文化を味わうことができました。ちょっとした所作の美しさ、音の繊細さなど、日本の伝統美には魅せられるものがたくさんあります。そんな日本の伝統文化の良さを堪能できる公演でした。